肥料の効き方 気相率 土の比重

こんにちは今回は肥料の効き方、気相率、比重について書いていこうと思います。

参考にさせてもらったのは『誰でもできる養分バランス施肥』です。

 

目次

  • 肥料の前に物理性の管理
  • 湿度管理で肥料効果が変化する
  • 気相率で水と空気を管理する
  • 比重も重要

 

 

皆さんはチッソ1kで何トンのトマトを取っていますか?

一般のトマト栽培では10aあたり20kのチッソを施して4段果房くらいでおおよそ5トン収穫し

その後は追肥で20日ごとに5キロ補給して一回分で1トン程収穫できるとして

4~5段分の約4トン合わせて9トン程の収穫量になる。

 

この場合チッソは約40キロ。

1キロ当たり225キロの収穫量になる。

1トン当たりチッソ量で約3キロなので収穫量が9トンだと27キロ使われたことになる。

そうなるとチッソ40キロに対する利用効率は70%弱になる。

 

トマトなどの果菜類は上段になるほど果実を肥大させる樹の力が衰えてくる。

これが「成り疲れ」と呼ばれ、無理に果実をならせようとすると

気が弱り花が飛んだりする。

そこで負担を減らそうと1段当たりの着果を3~4個に摘果して対応している。

こうなるとチッソ1キロ当たりの収量が200キロ、150キロとどんどん落ちていき

利用効率も60%、50%と低下しチッソを無駄にしていることになる。

 

そのようなことにならないように利用効率を上昇させ栽培管理の技術をあげることで

高品質、多収、減農薬までもが同時に実現することができる。

 

肥料の前に物理性の管理

土づくりと施肥を行う前にまずは物理性を考える。

物理性とは水はけ、水持ち。

 

肥料は水に溶けて吸収されるため、効く効かないはすべて水任せになる。

物理性の良い土とは、養分が溶けている水の量と濃度の変動が少なく肥料が安定して

植物に供給できる保水性の良い土の事。

 

また肥料は呼吸による力でも吸収されるため、根の周りに新鮮な空気も必要で

酸素が不足すると根は呼吸活動ができない。

よって水とともに酸素が供給される通気性の良い土が必要。

 

保水性と通気性は矛盾しているようだが土は二つを両立させることができる。

ここで大事になってくるのが気相率24%(16~30%)土の比重1.0いう数字である。

 

かん水を中心に耕運、鎮圧、マルチ、温度、湿度、光線管理など毎日行っている作業を

意識的に上手に組み合わせていくことで、肥料の吸収、利用は格段に良くなる。

 

湿度管理で肥料効果が変化する

作業の中で温度管理はよく耳にするが湿度管理を意識することで施肥効果がぐんと高まる。

 

地球上では大地からの水分蒸発で土が乾き、大気の湿度が高まり雨などでまた土にかえる。

このような水の移動が畑、ハウスでもおこり作物の養分吸収、利用に大きな影響を与えている。

湿度が30~20%に下がってくるとチッソや石灰などが土壌に溶けなくなり、養分吸収が低下する。

特にハウス内では激しくなり収量の低下やアブラムシ、スリップスなどの害虫が大量発生する。

 

作物の体内でも水の循環が行われているため乾燥状態が続くと、トマトの着色不良などの影響も出てくる。

 

日常の作業で最適湿度状態をできるだけ長く保ってあげることで

作物の葉、株の姿が一変して高収量、高品質の育生に持っていく。

 

気相率で水と空気を管理する

「気相率24%」この謎を紐解く。

気相とは土の中の気体の事である。

粘土や有機物などは固相

水が液相

三相の割合を三相分布と言われる。

一般的に固相40% 液相30% 気相30%が理想的な土壌とされている。

その中でも一番扱いやすく、いじりやすいのが気相である。

 

気相率が高い

酸素供給はよいが高すぎると水不足が起こる。

こうなると水不足で枯れる危険性がありチッソや石灰があっても乾燥で水に溶けないので吸収できない。

肥料濃度が凝縮されて根に濃度障害を起こす。

夏バテ、成り疲れになる原因。

 

気相率が低い

湿った状態で水が豊富なため養分吸収が盛んで収量も上がる。

低すぎると酸素不足になって根の活動低下を招きチッソだけが優先的に吸収されて

軟弱に育って病気にかかりやすく品質も低下する。

灰色カビやべと病、たんそ病、カビ細菌が蔓延しやすい。

 

 

気相率24%

十分な水がありチッソなどの養分吸収が盛んで葉などが大きく育果実の肥大がよくなる。

トマトなどでも24%の気相率を確保されるとたっぷりかん水しても糖度が落ちることはない。

 

手のひらで握ると固まるが指で押すと崩れる。

 

気相率16%

種まきから発芽し本場の展開までの時期やキュウリやナスなどの水を好む野菜で

収量を増やそうというときには気相率16%を目安に管理する。

たっぷりかん水するときでも気相率を最低16%は確保していないといけない。

 

手のひらで強く握ると指の間から水が染み出る。

 

気相率30%

長期栽培に備えて根を深く伸ばしたいときや、収穫前にチッソを切って味をよくしたいときに

乾燥気味の管理をする時が気相率30%。高くても40%までにしないと

養分吸収の低下や、濃度障害が出てしまう。

 

手のひらで握ると固まりになるが手を開くと崩れる。

 

 

 

握ってもさらさらして固まりにならないのが気相率40%以上。乾きすぎ。

握るとベッタリしたりヌルヌルているのが気相率10%以下の過湿状態。

 

 

カビの種類でも気相率が図れる

 

赤カビ

乾きすぎ気相率40%以上

 

白っぽいカビ

気相率20~30%。ここら辺が適度。

 

青かび

湿りすぎき。気相率10%台。

 

比重も重要

発芽や根の伸び養分吸収には土の比重が重要。

作物の根が最もよく伸びて、活発的に養分吸収できる比重は1.0前後が最適。

粘土質の比重は1.3と重く、火山灰土は比重が0.7と軽い。

重く締まった土では根は元気に伸びず、養分吸収する細根や根毛が発達しない。

軽くふかふかの土は太い力強い根が発達せずに大地にしっかり根を張った生育にならない。

また発芽が順当に進まない。

 

土を指で押して耳たぶの硬さと弾力のある硬さが比重1.0に近い。

スポッと5㎝くらい指が入るときは比重0.8

硬く締まって力をこめると指先が痛く入りにくいのが比重1.3

 

比重の軽い土は耕運後に鎮圧などの作業を入れると比重を高めることができる。

 

比重の重い土は堆肥の投入によって重い土を軽くして気相率を高めると

水と空気のバランスがよく過湿、過乾燥になりにくく発芽と養分吸収が大幅に改善される。

 

今回はここらへんで。

次回以降に続きます。

ではまた。

 

 

 

 

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